
佐土原の住宅
※前事務所管理建築士時代の担当プロジェクト
熊本地震被災による建替え復興住宅。
震度7を2回記録した2016年熊本地震。
施主は、その震源地となった益城町に隣接する熊本市東区佐土原に住まわれていた自宅が被害に遭われた。熟考の末、やはり長年住み慣れた同じ場所での建替えを決断された、60代後半になられるご夫婦お二人のための住まい。
ご要望は、大地震の経験を踏まえ耐震上強い家とすること、長期優良認定住宅の取得、省エネルギ-に配慮した快適な室内環境の実現、そして、建替え前の住まいが個室が廊下を介して完全に独立したような住まいであり家族が一緒に住んでいるという感覚が乏しかったため、それぞれの室が閉鎖的ではない明るい住空間が希望でした。
60代ご夫婦の住まいということもあり、当然、終の棲家であるということは前提であるため、機能的にシンプルな平面となるように意図した。南西側が隣地、他三方が道路に囲まれているという敷地条件から、北東側に駐車場を確保、南・南面側には境界線から適度な距離感をもった庭・テラスを確保し、それ以外の敷地の余白に必要とされるボリュームをZ型に配しています。テラスは、奥行きをもたせることでプライベート性を確保しつつ、30年以上この地に暮らしてこられて築きあげた近隣との関係性から、近隣の方々との声掛けなどが自然発生するよう街に開いています。結果、平屋一部2階建て(2階は主に趣味の部屋・お子さんが帰省された時のゲストルームとして利用)とし、屋根は南勾配の大屋根にし、太陽光発電パネルも設置しています。
構造強度は許容応力度計算による耐震等級3とし、繰り返し地震による構造体の損傷を防ぐため制震ダンパ-を組み込んだ構造設計です。また、屋根の構造は垂木を兼ねた梁材の2×10材を30センチ間隔で並べた上から、構造用合板を張り水平剛性を高めています。天井面は、地震時に天井材の落下するという心理的不安を無くすことと、空間が連続して繋っていることが視覚的にも意識できるよう、天井材を張らずに整然と並んだ構造材を表しのままとしました。















