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05-受付棟エントランス.JPG

​農のオーベルジュ白金の森

※前事務所管理建築士時代の担当プロジェクト

 事業主は農家です。
この地域で50年に渡り取組まれてこられた既存事業(養鶏を主業としたたまごや菊池地域の農産物の直売所)の代表権を数年前に御子息に譲られ、70歳を目前にして残りの人生をかけて取り組まれた新規事業。


 基本設計中に起きたH28年熊本地震により敷地の一部崩壊や地震以降の建築コストの高騰を乗り越え、人生最後の集大成としてこれまで一貫して取組まれてこられた事業テーマである、<地域の人づくり>を具現化する場所としての想いを込め、菊池市森北白金の地に
<農のオーベルジュ 白金の森>は誕生しました。


 敷地(丘)の廻りは田畑が広がり、農村風景の環境であった。通常のリゾート施設であれば、それらの外部環境から一切遮断し自己完結型の空間づくりをするという方法を選択しますが、事業主と本施設のコンセプトを構築していく中で、本施設がこれまでの既存事業の点を結ぶ面的な位置付けでもあり、それらを隠すのでは無くこの地のありのままの環境を見せながら、農家が提供する非日常の時間・体験をする施設であるということを、ビジターに発信・提案していくということが、計画を進めていく上での大きな共有の指針でした。
 この小高い丘の敷地に初めて立った時、既に事業主自らの手で数年の歳月をかけ、建築をつくる場所の平地と頂上まで敷地を貫くメイン道路は整地・舗装済みという状態であした。そこで、私たちは、頂上までゆるやかな高低差のついた斜面の敷地に、新しい建築と木々が加わることによって双方が補完しあって新たなこの丘の風景を形成しているような状態をつくりたいと考えました。


 全施設、地場産の木材による木造在来工法の平屋で造り、既存の斜面方向に合わせた屋根の勾配方向としています。建築の外形は建設可能な平地の範囲の中でイニシャル・ランニングコストの側面から庇も最小限にしたシンプルなボリュームを設定し、それらを既存の木々や法面のラインに合わせて細分化・雁行させていくことで、木々を随所に配し外・内部空間に変化ある表情と雰囲気をつくっています。
 他方、室内は施設の性格上、非日常の空間の設えという側面からデザインを行い、外部空間から内部空間へと至るアプローチ空間は、限られた平地の範囲で動線を長く確保しつつ風景を遮断し、ビジターが移動と共に建築というフィルターを通して映像化された廻りの風景や環境を意識化されるよう意図しています。

農のオーベルジュ白金の森HP  shirokane-mori.jp

農のオーベルジュ白金の森: Project
農のオーベルジュ白金の森: Pro Gallery
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