TEL096-223-6263

所在地:熊本県阿蘇市乙姫
用 途:公衆浴場(日帰り家族風呂)
竣 工:2022年
構 造:木造在来工法・平屋
床面積:197㎡
複合リゾ-ト施設内に建つ、計7室の源泉かけ流し温泉の日帰り家族風呂。
阿蘇五岳の麓、阿蘇市乙姫に広がるコスギリゾート内に計画された、日帰り家族風呂温泉の増築棟。
ゴルフ場やグランピング施設、既存の温泉施設など多様なアクティビティが共存するリゾートの一画に位置し、敷地内道路を挟んで既存施設と向かい合う不整形な残地が今回の増築棟の建設地でした。
既存の家族風呂施設は開業から10数年が経過し、近年は家族やグループのみで利用できる入浴形態への需要増加により、週末には長時間の待ちが生じる状況となっていました。これを受け、本計画では新たに7室の家族風呂を増築することで、リゾート全体の受け入れ機能の向上を図っています。
建設地は四方すべてがリゾート利用者の動線に囲まれ、さらに隣接するゴルフ場およびグランピング施設の敷地が一段高く、上方からの視線が生じるという特有の条件を抱えていました。そのため、入浴者のプライバシーを最優先に確保しながら、非日常性と開放感を併せ持つ温泉空間を成立させることが、設計上の大きなテーマでした。
建築の構成において、遠景では既存の温泉施設と連続して見えるよう勾配屋根を採用し、リゾート全体としての景観の統一性を意識しました。一方、近景においては、阿蘇の山並みや起伏ある地形、自然に育つ木々の有機的な樹形と対比するよう、水平性を強調した建築を挿入しています。周囲からの視線のコントロールは建築形態と配置によってクリアさせ、露天は壁に沿って上部から少量の水を流すことで水面に反射した水音が隣接する部屋の話し声を打ち消し、周囲の賑わいから切り離された静かな入浴体験を生み出しています。
本計画は、機能拡張としての増築にとどまらず、建築そのものが新たな風景の一部としてリゾートに加わることを目指した試みであり、自然と人工、動と静、その境界に立ち現れる建築の佇まいが、訪れる人々に穏やかな時間をもたらすことを意図しています。

















