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阿蘇くまもと空港新旅客ターミナルビル
「コッコファ-ム」
所在地:熊本県上益城郡益城町
用 途:搭乗口フードコ-ト
竣 工:2023年
2023年3月23日にリニューアルオープンした新空港の搭乗口待合(滞在型ゲートラウンジ)の店舗。
菊池にある本店と連動した創業の想いの原点そのままをコンセプトにデザイン。
2008年、菊池市にある本店「コッコファーム たまご庵」(物産館・レストラン・イベントホール・本社機能を併設)の建築設計を前職時に担当したことが、このプロジェクトの原点となっています。
それから約13年。
同社が菊池以外の地に直営店を初めて出店するという節目に、リニュ-アルされた阿蘇くまもと空港という場所を選ばれました。そしてその空間づくりを、数社の候補の中から独立後の当事務所に託していただきました。
空港内フードコートという環境を読み解くため、数多くの同種施設を視察しました。そこでは、店舗固有の思想よりも「フードコートとしての記号」が優先され、店舗名(サイン)を入れ替えても成立してしまうような匿名的なデザインが多く見受けられました。
また、ファサードを強くデザインすればするほど、各店舗が互いに主張し合い、結果として空間全体のノイズに埋もれてしまうという逆説も浮かび上がってきました。
この場所で本当に必要なのは、静かに、しかし確かに伝わる存在感なのではないか。そう考えたとき、私たちが立ち返ったのは、同社が50年前の創業時から大切にしてきた想いでした。
「生みたての、あたたかいたまごをお客様に届けたい。」
この言葉は、コンセプトである以前に、事業そのものの核であり、変わることのない原風景です。私たちはこのメッセージを装飾や比喩で包むのではなく、そのまま立ち上げることを選びました。
たまごという素材がもつ、素朴さ、あたたかさ、生命感。
それらを直接的かつシンプルに可視化したファサードは、フードコートの中で競うことなく、むしろ周囲の喧騒から一歩距離を保ちながら、自然と人の視線と記憶に残る存在となっています。
主張しないことで、最も強く語る。この空間は、同社の原点そのものを、いまの場所と言葉で再提示する試みです。




